1. デザインの対象媒体の違い
デザインの対象媒体には、WEBデザインとグラフィックデザインの2つの異なる分野があります。
1.1 WEBデザインの媒体:パソコン・スマホ等のデジタルデバイス
WEBデザインでは、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを対象にしたデザインが行われます。
インターネットを介してコンテンツにアクセスされるため、ユーザーに対して情報をわかりやすく伝える必要があります。
1.2 グラフィックデザインの媒体:ポスターやパンフレット等の印刷物
グラフィックデザインでは、ポスターやパンフレットなどの印刷物を対象にしたデザインが行われます。
直接手に触れることができるため、視覚的な印象や発色の良さなどが重視されます。
2. 色の扱い方の違い
WEBデザインとグラフィックデザインでは、色の扱い方にも違いがあります。
2.1 WEBデザインの色彩:見易さと操作イージーを重視
WEBデザインでは、見易さと操作のイージーさを重視した色彩を選ぶ必要があります。ユーザーがウェブブラウザを通じてコンテンツにアクセスするため、読みやすく、操作しやすい色の組み合わせを選ぶことが重要です。また、背景色やテキストの色のコントラストも考慮し、情報の伝達性を高める配色を選ぶ必要があります。
さらに、異なるデジタルデバイスやウェブブラウザでの表示も考慮して、色の再現性を確認する必要があります。画面用の色表現(RGB)が主流なため、これに基づいて色の選択や調整を行います。
2.2 グラフィックデザインの色彩:発色の良さと視覚的印象を重視
一方、グラフィックデザインでは、発色の良さと視覚的な印象を重視した色彩を選びます。印刷物には色の再現性が求められるため、色の表現はCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、キー)カラーモードが主流です。これにより、印刷時の色再現性を向上させることができます。
グラフィックデザインでは、鮮やかな色やコントラストが求められることもあります。印刷物自体が人々の目に直接触れるため、色彩による視覚的な印象を重視することが重要です。また、印刷時に起こる色の変化や輪郭のぼけなども考慮しながら色を選ぶ必要があります。
3. 制作過程と完成形の違い
3.1 WEBデザインの制作過程:調整可能性とレスポンシブデザインの必要性
WEBデザインの制作過程では、デザイナーは柔軟性を持ちながら作業を進めることが求められます。ウェブページはコンテンツの量や配置、デザイン要素の調整が容易であり、変更や修正が可能です。そのため、デザイナーは使用する色やフォント、レイアウトの調整を柔軟に行い、ユーザーのユーザビリティや視覚的なユーザーエクスペリエンスを最大化する必要があります。
また、レスポンシブデザインは、異なるデバイスやディスプレイサイズに適応するデザインを作成するために重要です。デザイナーはウェブページのレイアウトを自由に変更し、異なるデバイスの利用者に対して最適な表示を提供するようにする必要があります。
3.2 グラフィックデザインの制作過程:印刷後の調整不可と最終形状の確定性
グラフィックデザインの制作過程では、デザイナーは印刷物の最終形状を常に意識しながら作業を進めます。印刷物は一度印刷された後の調整が難しく、修正や変更は困難です。そのため、デザイナーは最終的なレイアウト、フォント、色の選択を慎重に行い、印刷物としての品質を確保する必要があります。
また、印刷物の制作過程では、デザイナーは印刷所とのコミュニケーションを密に行う必要があります。印刷所へのファイルの送付や製版作業など、厳密な手続きやスケジュールが存在します。デザイナーは制作物の品質を確認し、印刷所への納品までをスムーズに進めるようにする必要があります。
4. 対象とするユーザーの違い
WEBデザインとグラフィックデザインは、それぞれ異なる対象となるユーザーを持っています。
4.1 WEBデザインのユーザー:ウェブブラウザを介してコンテンツにアクセス
WEBデザインのユーザーは、ウェブブラウザを通じてコンテンツにアクセスする人々です。彼らはインターネット上の情報を探し、ウェブサイトやウェブアプリケーションを閲覧しています。
WEBデザインのユーザーには、様々なデバイスを使用する人々が含まれます。パソコンやスマートフォン、タブレットなど、それぞれのデバイスで表示されるウェブページのデザインが異なるため、デザイナーはそれぞれのデバイスに合わせたデザインを考える必要があります。
また、ユーザーはウェブページのナビゲーションやコンテンツの操作性にも重点を置いています。ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上を図るために、使いやすさや速度などを考慮したデザインが求められます。
4.2 グラフィックデザインのユーザー:直接印刷物に触れる
一方、グラフィックデザインのユーザーは直接印刷物に触れる人々です。彼らはポスターやパンフレット、雑誌などの印刷物を手に取り、情報やデザインを楽しんでいます。
グラフィックデザインのユーザーは、デザイナーが制作した印刷物を通じて伝えられる情報にアクセスします。そのため、デザインが分かりやすく伝わり、魅力的な印象を与えることが重要です。
印刷物のデザインは、カラフルで鮮やかな色彩や細かなディテールを活かした表現が求められます。また、印刷物は手に持って見るため、文字や画像の配置など、情報の見せ方にも配慮する必要があります。
5. WEBデザイナーとグラフィックデザイナーのスキルの違い
WEBデザイナーとグラフィックデザイナーは、それぞれ異なるスキルセットを必要とします。
5.1 WEBデザイナーの必要なスキル
WEBデザイナーには、以下のスキルが求められます。
- HTMLとCSSの基礎知識
- Webサイトのデザインに関する知識と経験
- ユーザビリティに配慮したデザイン能力
- ユーザーインターフェース(UI)のデザイン経験
- レスポンシブデザインの実装能力
- デザインツール(Photoshop、Illustrator等)の使用経験
- ユーザビリティテストの実施と結果の分析能力
WEBデザイナーは、Webページのデザインやユーザビリティの向上に重点を置いています。
5.2 グラフィックデザイナーの必要なスキル
グラフィックデザイナーには、以下のスキルが求められます。
- デザインツール(Photoshop、Illustrator等)の高度な使用能力
- 印刷物のデザインに関する知識と経験
- CMYKカラーモードによる色管理の理解
- 解像度や印刷用フォーマットに関する知識
- 素材やテキストの配置と編集の能力
- デザインのコンセプトやブランディングに関する洞察力
グラフィックデザイナーは、印刷物のデザインや色彩表現に重点を置いています。
6. WEBデザインとグラフィックデザインの共通項と相違点
WEBデザインとグラフィックデザインは、共通する要素もありながら、それぞれ独自の特徴を持っています。
共通項
まず、WEBデザインとグラフィックデザインの共通項として、デザインの基本原則を守る必要があります。どちらも視覚的な効果や情報の伝達を考慮し、美しさと使いやすさを追求します。
また、色彩の選び方や配置、文字のフォントやサイズ、余白の使い方など、基本的なデザインの原則やテクニックは、両方のデザインにおいて重要です。
相違点
一方で、WEBデザインとグラフィックデザインには、以下のような相違点も存在します。
まず、対象媒体の違いがあります。WEBデザインは、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを対象としています。一方、グラフィックデザインは、ポスターやパンフレットなどの印刷物を対象としています。
また、色の扱い方も異なります。WEBデザインでは、見やすさや操作のしやすさを重視して色彩を選びます。一方、グラフィックデザインでは、発色の良さや視覚的な印象を重視して色彩を選びます。
さらに、制作過程と完成形の違いもあります。WEBデザインでは、調整の自由度やレスポンシブデザインの必要性が高く、制作後にも修正や変更が可能です。一方、グラフィックデザインでは、印刷後の調整ができないため、最終形状を確定させる必要性があります。
次に、対象とするユーザーの違いがあります。WEBデザインでは、ウェブブラウザを介してコンテンツにアクセスするユーザーを対象とします。一方、グラフィックデザインでは、直接印刷物に触れるユーザーを対象とします。
最後に、WEBデザイナーとグラフィックデザイナーの必要なスキルにも違いがあります。WEBデザイナーはHTMLやCSSなどのコーディングスキルを必要としますが、グラフィックデザイナーにはデザインツール(Photoshop、Illustrator)のスキルが必要です。
以上が、WEBデザインとグラフィックデザインの共通項と相違点です。デザイン対象や色の扱い方、制作過程と完成形、対象ユーザー、必要なスキルなどを考慮して、それぞれのデザイン領域において最適なデザインを追求していきましょう。